オフィス便り 第5号

枝ゆれて 雪が降り積む わがコート


急な冷え込みに目を覚まし、カーテンを開けると庭が白く染まっていた。
東京で11月に積雪するのは、観測史上初めてだそうだ。
私の地元、佐渡ヶ島はいわゆる雪国というやつなので、初雪には若干ほかの地方の方より心持が違っている。
冬の到来の喜びと惧れ。
寒いだけでは冬ではない。やはり雪が積もらなければ冬ではないのだ。

国際基督教大学へ向かう道も、いつもと違う。
すべてが新鮮だ。
仕事場へは電車を使わずとも行けるので、交通のストレスがないのが大きい。
景色が私の歩みとともに過ぎてゆく。

裏門をくぐるとすぐに、林のアーチが架かった砂利道が見える。
木々はまだ紅葉の真っ最中だ。
そこへ急かすように雪が覆いかぶさっている。

贅沢な景色だなあ。

雪は時間を遅くする。
立ち止まり、眺める。
秒針代わりの雪がゆらゆらと時を進める。
そして、歩き出す。
そんなことを何度か繰り返す。

秋の終わりを感じながら。

私たちの秋学期も終わりを迎え、あとは採点を残すのみだ。
もうすでに故郷に帰ったものもいる。日本旅行に出かけているものもいる。東京に留まっているものもいる。

日本の四季の美しさは世界でも評判だ、
同じような気候の所は少なくないが、その植生や建造物との調和が見事なのだろう。
みなさん、日本はどうだっただろうか。
言葉は、人は、学校は、地域は、日本暮らしは、どうだっただろうか。

私はもう祈るばかりである。
素敵な留学であったと。

そして私たちは、冬学期へ続く。

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